【米国発OOSガイドライン】ASTROM通信 250号

今回は2022年5月にアメリカの医薬品評価センター(CDER:Center for Drug Evaluation and Research)から発表された“医薬品製造のためのOOSの試験結果の調査-業界向けガイドライン”改訂版を取り上げます。

ウォーニングレターでは、しばしば規格外(OOS : Out-of-specification) の結果が発生した際の対応に関し、以下のような指摘が挙げられています。
・最初の試験でOOSの結果が出た際、十分な調査をせず、合格が出るまで試験を行い、合格が出ると最初の試験を無効にする
・OOSの原因を安易にラボの分析者のせいにして製造工程にある隠れた原因の調査を怠る
・同様もしくは類似の原因の影響を受けた他のロットや他の製品の是正処置・予防処置が不十分
そこで、FDAが考えるOOSの対処方法をガイドラインを読んで確認していきたいと思います。
また、本メールマガジンの最後に、DXのオンラインセミナーのご案内がございますので、あわせて
確認頂ければ幸いです。

Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Production Guidance for Industry  

医薬品製造のためのOOの試験結果の調査-業界向けガイドライン

I. はじめに

業界向けのこのガイドラインは、規格外(OOS : Out-of-specification) の試験結果を評価する方法に
関する当局の現在の考え方を提供する。この文書の目的上、「OOSの結果」という用語は、 医薬品申請、医薬品マスターファイル(DMF)、公式公定書、または製造業者によって確立された仕様または合格基準の範囲外にあるすべての試験結果を含む。この用語は、確立された仕様の範囲外にあるすべての工程内の試験にも適用される。

このガイドラインは、CDERによって規制されている医薬品の化学ベースのラボの試験に適用される。
これは、従来の医薬品の試験およびリリース方法に向けられている。これらのラボの試験は、現行のCGMPの規制(21 CFR parts 210, 211)およびFD&C Act(501(a)(2)(B))が適用される範囲で、有効成分、
賦形剤およびその他の成分、工程内原料、および最終医薬品に対して実施される。このガイドラインの原則は、企業により購入された医薬品の成分の社内試験にも適用される。このガイドラインは、生産および/またはラボの試験の責任を実行する契約企業によっても使用できる。具体的には、ラボの職員の責任、ラボフェーズの調査、必要な追加試験、ラボ外に調査を展開するタイミング、すべての試験結果の最終評価など、OOSの試験結果の調査方法について説明する。

当局は、2002年8月の “Pharmaceutical CGMPs for the 21st Century”の構想に従って、工程の予測可能性と効率を強化するために、製造、モニタリング、および管理への現代的なアプローチを奨励する。プロセス分析技術(PAT)は、ロットの合格判定をするために単一の試験の判断に依存するのではなく、プロセス制御と工程内データをリリース規格として使用することにより、品質保証のための異なるアプローチを採用している。このガイドラインは、PATアプローチに対処することを意図したものではなく、日常的な工程内の使用には他の考慮事項が含まれる場合がある。タイムリーな工程内試験の詳細についてはCGMPガイドラインA Framework for Innovative Pharmaceutical Development, Manufacturing, and Quality Assurance(2004年9月)を参照せよ。

この文書の内容は、法律の力および効果を有さず、契約に特に組み込まれていない限り、いかなる方法でも公衆を拘束することを意図したものではない。この文書は、法律に基づく既存の要件について公衆に明確さを提供することのみを目的としている。このガイドラインを含むFDAガイドライン文書は、特の規制要件または法定要件が引用されていない限り、推奨事項としてのみ見なされるべきである。当局のガイドラインで“should”(すべき)という言葉の使用は、何かが提案または推奨されているが、必須ではないことを意味する。

II.バックグラウンド

ラボの試験は、成分、容器と蓋、工程内原料、および最終製品が安定性の規格を含む規格に準拠していることを確認するために必要である。

試験は、分析およびプロセスバリデーションも裏付ける。ラボの運用をカバーする一般的なCGMPガイラインは、Part 211、サブパートI(試験の管理)およびJ(記録および報告)に記載されている。これらの規制は、成分、容器と蓋、工程内材料、および最終医薬品が確立された基準に準拠していることを保証するために設計された、科学的に理にかなった適切な規格、標準、および試験手順の確立を規定している。CGMPガイドラインの211.165(f)は、確立された標準、規格、またはその他の関連する品質管理基準を満さない最終医薬品は不合格と判定されなければならないと規定している。
完成した医薬品と有効成分(API)は、いずれも同法501 (a)(2)(B)に基づくCGMPに従って製造されたものでなければならない。APIのCGMPには、科学的に理にかなった原材料の試験、工程内モニタリング、リリースおよび安定性試験、プロセスバリデーション、およびそれらの試験から得られたOOSの結果の適切な調査の履行が含まれる。この文書内のPart 211のすべての引用は最終医薬品に関するものだが、これらの参照された規制要件は、OOSの調査を含むラボの管理に関するAPIのCGMPに関する当局のガイドラインとも一致している。特定の推奨事項について、FDAの業界向けガイドラインQ7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients(2016年9月)(ICH Q7)を見よ。

III. OOS検査結果の特定と評価 — フェーズI :ラボの調査

FDAの規制は、OOSの試験結果が得られたときはいつでも調査を実施することを要求している (§ 211.192) 。
調査の目的は、OOSの結果の原因を特定することである。OOSの結果の原因は、測定プロセスの逸脱または製造プロセスの逸脱として識別する必要がある。ロットがOOSの結果に基づいて拒否された場合でも、結果が同じ医薬品または他の製品の他のロットに関連しているかどうかを判断するために調査が必要である。ロットの不合格の判断は、調査を実施する必要性を否定するものではない。規制は、結論とフォローアップを含む、調査の文書化された記録を作成することを要求している(§211.192)。

調査を有意義なものにするためには、徹底的で、タイムリーで、偏見がなく、十分に文書化され、科学に理にかなっていないといけない。このような調査の第1段階には、ラボのデータの精度の初期評価を含める必要がある。可能な限り、試験標本 (試験した一定分量の混合物または均質な供給源を含む)を廃棄する前に、これを行う必要がある。このようにして、ラボのエラーや機器の誤動作に関する仮説を、同じ試験標本を使用して試験することができる。この最初の評価で、データを得るために使用された分析方法に原因となるエラーがなかったことが示された場合は、本格的なOOS調査を実施する必要がある。受託ラボの場合、ラボはデータ、調査結果、および補足文書を製造会社の品質部門(QU)に伝える必要が

ある。製造会社のQUは、明らかに原因となる実験室のエラーが特定されなかったときはいつでも、フェーズ2(本格的な)OOS調査を開始する必要がある。

A. 分析者の責任
正確なラボの試験結果を得るための最初の責任は、試験を実行している分析者にある。分析者は、試験プロセス中に発生する可能性のある潜在的な問題を認識し、不正確な結果を生み出す可能性のある問題を監視する必要がある。§ 211.160(b)(4)のCGMPガイドラインに従って、分析者は、規定された性能規格を満たす機器のみが使用され、すべての機器が適切に較正されていることを保証する必要がある。

特定の分析方法にはシステム適合性の要件があり、これらの要件を満たしていないシステムは使用されるべきでない。例えば、クロマトグラフィーシステムでは、ドリフト、ノイズ、および再現性を測定するために、クロマトグラフィーの実行中に参照用の標準溶液を間隔をあけて注入することができる。参照用の標準の反応でシステムが正しく機能していないことが示された場合は、疑わしい期間に収集されたすべてのデータを適切に識別し、使用すべきでない。誤動作の原因を特定し、可能であれば、疑わしい期間より前のデータを使用するかどうかを決定する前に誤動作が是正される必要がある。
分析者は、試験標本または標準標本を破棄する前に、試験規格に準拠しているかどうかデータを確認する必要がある。予期せぬ結果が得られ、明白な説明が存在しない場合は、試験標本が安定していれば保持し、分析者は管理者に通知する必要がある。結果の正確性の評価は直ちに開始する必要がある。
サンプル溶液のこぼれやサンプル複合材料の不完全な転送など、エラーが明らかな場合、分析者は何が起こったかを直ちに文書化する必要がる。分析者は、突き止めることが可能な原因について、後で無効になると予想される分析を故意に継続すべきではない (すなわち、明らかなエラーが判明したときにどのような結果が得られるかを見るという目的だけで分析を完了すべきではない)。

B. ラボ管理者の責任
OOSの結果が特定されたら、管理者のアセスメントは客観的でタイムリーでなければならない。OOSの結果の原因について先入観のある仮定があってはならない。データを迅速に評価して、結果がラボのエラーに起因する可能性があるかどうか、または結果が製造プロセスの問題を示している可能性があるかどうかを確認する必要がある。即時のアセスメントには、オリジナルの測定と標本で使用された実際の溶液、試験ユニット、およびガラス製品の再試験が含まれ、それはラボのエラーの仮説をより高めるかもしれない。
管理者のアセスメントの一環として、次の手順が実行されるべきである:
1. 分析者と試験方法を議論せよ。正しい手順に関する分析者の知識と実行を確認せよ。
2. クロマトグラムやスペクトルなど、解析で得られた生データを調べ、異常情報や疑わしい情報を特定 せよ。
3. ローデータの値を最終試験結果に変換するために使用される計算が科学的に理にかない、適切で正しい   ことを確認せよ。また、自動計算方法に承認されていない変更または検証されていない変更が加えられ   たかどうかも判断せよ。
4. 機器の性能を確認せよ。
5. 適切な参照標準、溶媒、試薬、およびその他の溶液が使用され、品質管理規格を満たしていることを  確認せよ。
6. 方法の検証データと履歴データに基づき、期待された標準に従って実行されていることを保証するために、試験方法の実行を評価せよ。
7. このラボのアセスメントの記録を完全に文書化し、保存せよ。OOSの結果に関する原因の決定は、保持されたサンプル標本が迅速に検査されれば、非常に容易になる。何が起こったかの仮説(希釈誤差、機器の誤動作など)を試験する必要がある。保持された溶液の検査は、ラボの調査の一環として実施されるべきである。

例:
• 一時的な機器の誤動作が疑われる調査の一環として、溶液を再注入できる。このような仮説は証明が  難しい。しかし、再注入は、問題がサンプルまたはその標本ではなく、機器に起因するべきであると  いう強力な証拠を提供することができる。
•試験中に破壊されない特定の特殊な剤形の医薬品の放出速度試験のために、可能であれば試験された オリジナルの投薬単位の検査は、それがその性能に影響を与える方法で実験室の取り扱い中にダメージ を受けたかどうかを判断してもよい。このようなダメージは、OOSの試験結果を無効にする証拠を提供し、再試験が示される。
•可能であれば、投薬単位のさらなる抽出を行って、オリジナルの分析中に完全に抽出されたかどうか を決定することができる。抽出が不完全な場合、試験結果が無効になる可能性があり、試験方法の バリデーションに関する問題につながる可能性がある。調査の各ステップを完全に文書化することが重要である。ラボの管理は、得られた個々の値の信頼性だけでなく、これらのOOSの結果がラボの品質保証プログラムにとってどの程度重要かを確認する必要がある。ラボの管理は、開発傾向に特に注意する必要がある。効果的な品質システムの一環として、企業の経営陣はこれらの傾向を適切に監視し、問題のある分野が確実に対処されるようにする必要がある。ラボのエラーは比較的まれである。頻繁なエラーは、分析者の不十分なトレーニング、不十分なメンテナンスまたは不適切な校正された機器、または不注意な作業によるかもしれない問題を示唆している。ラボのエラーが特定されたときはいつでも、企業はそのエラーの原因を特定し、再発を防ぐために是正措置を講じる必要がある。CGMPガイドラインへの完全な準拠を保証ために、製造業者は是正措置の適切な文書も保持すべきである。

要約すると、ラボの誤りの明確な証拠が存在する場合、ラボの試験の結果は無効にされるべきである。ラボのエラーの証拠が不明瞭なままの場合は、製造会社によって本格的なOOSの調査を実施して、予期しない結果の原因を特定する必要がある。OOSの試験結果は、ラボの根本原因を明確に確証する調査を完了せずに分析エラーに起因するべきではない。最初のラボのアセスメントと次のOOS調査の両方を完全に文書化する必要がある。

IV. OOS 試験結果の調査 — フェーズ II: 本格的なOOSの調査

初期評価で、実験室でのエラーが OOSの結果の原因であると判断されず、試験結果が正確であると思われる場合は、予め定義された手順を使用した本格的なOOS調査を実施する必要がある。このような調査の目的は、OOSの結果の根本原因を特定し、適切な是正措置と予防措置をとることにある。本格的な調査には、製造およびサンプリング手順のレビュを含めるべきであり、しばしば追加のラボの試験が含む。このような調査は最優先されるべきである。このフェーズの要素の中には、既に出荷されたロットに対するOOSの結果の影響の評価がある。

A. 生産の見直し

調査はQUよって実施されるべきで、製造、プロセス開発、保守、エンジニアリングを含む、関係する可能性のある他のすべての部門を巻き込むべきである。製造がオフサイト (すなわち、委託製造業者または複数の製造サイトで実施された場合) で実施される場合、関与する可能性のあるすべてのサイトを調査に含める必要がある。その他の潜在的な問題が特定され調査されるべきである。OOSの結果の考えられる原因を特定するために、製造工程の記録と文書が完全にレビュされるべきである。本格的なOOS調査は、タイムリーで徹底的で十分に文書化されたレビュであるべきである。レビュの文書化された記録には、次の情報を含めるべきである:
1. 調査の理由の明確な陳述
2. 問題を引き起こした可能性のある製造工程の特徴のサマリ
3. 実際の原因または推定原因の割り当てを伴う文書レビュの結果
4. 問題が以前に発生したかどうかを判断するために行われたレビュの結果
5. 実行された是正措置の説明
OOSの調査のこの部分で 、OOSの結果が確認され、根本原因の特定に成功した場合、OOSの調査は終了され、製品は不合格になる可能性がある。しかし、特定の不具合に関連している可能性のある他のロットまたは製品にまで及ぶ不具合の調査が実施されなければならない(§211.192)。追加の試験の後に原材料が再処理された場合、調査には、生産およびQU職員を含む適切な職員のコメントと署名を含めるべきである。

OOSの結果は、製品または工程設計の欠陥を示している可能性がる。例えば、製品の処方設計における堅牢性の欠如、不十分な原材料の特性評価またはコントロール、製造工程の複数の部門の作業によってもたらされる実質的なばらつき、 またはこれらの要因の組み合わせが、一貫しない製品品質の原因となり得る。このような場合、再現性のある製品品質を保証するために、製品またはプロセスの再設計を実施することが不可欠である。

B. 追加のラボの試験

本格的なOOSの調査には、フェーズIで実施された試験を超える追加のラボの試験が含まれるかもしれない。これらには(1)オリジナルのサンプルの一部を再試験すること (2)再サンプリングが含まれる。

1. 再試験

調査の一部には、オリジナルのサンプルの一部の再検査が含まれる場合がある。再試験に使用するサンプルは、もともとロットから収集され、試験され、OOSの結果が得られたのと同じ均質な原材料から採取する必要がある。

液体の場合、もともとの1個の液体の製品または液体製品の複合体からの採取であってもよい。固体の場合、オリジナルの試験のために調製した同じサンプルの複合体から追加の秤量になるかもしれない。

再試験が選択される状況では、試験機器の誤動作の調査や、例えば希釈のエラーの疑いなど、サンプル処理の問題の特定が含まれる。再試験の判断は、試験の目的と合理的な科学的判断に基づくべきである。事前に規定する再試験の計画に、オリジナルの試験を実行した分析者以外の分析者によって実行された再試験を含めることがしばしば重要である。再試験を実行する2人目の分析者は、少なくともオリジナルの分析者と同等の経験と資格を持っている必要がある。

CGMPガイドラインは、仕様、標準、サンプリング計画、試験手順、およびその他のラボの制御メカニズムの確立を要求している(§211.160)。

FDAの査察では、一部の企業は、合格の結果が得られるまで試験を繰り返し、科学的根拠もなしにOOSの結果を無効化する戦略を使用していることが明らかになった。この「合わせる試験」という慣行は、CGMPの下では非科学的で好ましくない。サンプルに対して実行される再試験の最大数は、文書化された標準操作手順 (SOP)

 で事前に指定されているべきである。この数は、採用される特定の試験方法の変動性によって異なるかもしれないが、 科学的に理にかなった原理に基づくべきである。再試験の回数は、得られた結果に応じて調整されるべきでない。企業のあらかじめ決められた再試験手順には、追加の試験の終了ポイントと、ロットが評価されるポイントが含まれているべきである。この時点で結果が満足のいくものでない場合、ロットは疑わしいものであり、不合格にされるか、さらなる調査を待たなければならない(§211.165(f))。
このSOPからの逸脱はまれであるべきであり、文書化された規格、サンプリング計画、試験手順、またはその他のラボの制御メカニズムからのいかなる逸脱も記録され、正当化されなければならないと述べている§211.160(a)に従って行われるべきである。このような場合、追加の再試験を開始する前に、実施される追加試験を記述し、データの科学的および/または技術的な取り扱いを指定するプロトコルを(QUの承認の対象)準備する必要がある。

明確にラボのエラーが特定されている場合、再試験結果はオリジナルの試験結果に置き換えられるかもしれない。しかし、全てのオリジナルのデータは保持されなければならず(§ 211.180)、説明は記録されるべきである。この記録は、関係者によって開始され、日付が付けられ、エラーの考察と監督者のコメントを含める必要がある。(ラボでの調査の詳細については、このガイドラインのセクション III を見よ)。

最初の試験でラボまたは計算のエラーが特定されない場合、最初のOOSの結果を無効にして再試験の結果を合格にする科学的根拠はない。全ての試験結果、すなわち、合格の結果と疑わしい結果の両方が報告され、ロットのリリースの決定で考慮されるべきである。

2. 再サンプリング

再試験とは、オリジナルの均質なサンプル原料の分析を指すが、再サンプリングでは、オリジナルのサンプリング手順の一部として収集された追加の個体から、または、ロットから収集された新しいサンプルの標本を分析する必要がある。

ロットのオリジナルのサンプルは、OOSの結果が得られた場合に追加の試験に対応できる十分な大きさでなければならない。ただし、状況によっては、ロットから新しいサンプルを収集することが適切な場合があるかもしれない。追加の検体の検査のための制御メカニズムは、所定の手順とサンプリングの戦略(§211.165(c))に従うべきである。

全てのデータが評価され、調査の結果、オリジナルのサンプルが不適切に準備されたため、ロットの品質を代表していないと結論付けられる場合があるかもしれない(§211.160(b)(3))。不適切なサンプルの準備は、例えば、オリジナルの複合体のいくつかの分割サンプルから得られた広くばらついた結果によって示されるかもしれない(分析の性能に誤りがないと判断した後)。再サンプリングは、最初のサンプルで使用されたのと同じ適格で検証済みの方法によって実行されるべきである。しかし、調査で、最初のサンプリング方法が本質的に不適切であると判断した場合、新しい正確なサンプリング方法を開発され、文書化され、QUによってレビュされ承認されなければならない(§§211.160および211.165(c))。

C. 試験結果の報告

試験結果の報告と解釈に使用される手順には、(1) 平均化(2)棄却検定が含まれる。
1.           平均化オリジナルの試験中とOOSの調査中に、試験データの平均化の適切な使用と不適切な使用の両方がある。

A.適切な使用

データの平均化は有効なアプローチだが、その使用はサンプルとその目的によって異なる。たとえば旋光度試験では、サンプルの旋光度を決定するためにいくつかの離散測定値が平均化され、この平均が試験結果として報告される。サンプルが均質であると仮定できる場合(すなわち、個々のサンプルの標本が均質であるように設計されている)、平均を使用して、より正確な結果を提供することができる。微生物学的分析の場合、米国薬局方(USP)は、生物学的試験システム固有の変動性により、平均の使用を選ぶ。試験は、結果に到達するために特定の複製物で構成される場合があることに注意されるべきである。例えば、HPLC分析の結果は、同じ標本(通常2または3)から得た多数の連続した複製の注入のピーク応答を平均することによって決定することができる。分析結果は、ピーク応答平均を用いて計算されるだろ。

この判定は、1つの試験と1つの結果とみなされる。これは、ロット内のばらつきを決定することを意図した1つのロットからの異なる部分の分析や、および同じ均質サンプルの複数の完全分析とはっきりと異なる違いである。1つの報告可能な結果に達するための複製の使用や、複製の特定回数の使用はQUによって承認された文書化された試験方法に明記すべきである。複製間のばらつきの許容限界も試験方法の中に明記すべきである。複製の判定における予期せぬばらつきは、§211.160(b)(4)で要求されるように是正措置を発動すべきである。複製のばらつきの許容限界を満たさない場合は、試験結果は使用されるべきでない。

場合によっては、分析などの一連の完全な試験(試験手順の完全なランスルー)が試験方法の一部である。試験方法において、これらの複数の分析の平均が1つの試験とみなされ、1つの報告可能な結果とみなすことを明記するのがよいかもしれない。この場合、個々の分析結果間のばらつきの許容限界は、試験方法の既知のばらつきに基づくべきであり、、試験方法論にも明記されるべきである。これらの制限を満たさない一連の分析結果は使用されるべきではない。

これらの試験データの平均化の使用は、OOSの結果を生成したオリジナルの試験中に使用された場合にのみ、OOSの調査中に使用せよ。

B.不適切な使用
平均化への依存には、個々の試験結果間のばらつきを隠すという欠点がある。このため、個々の試験結果はすべて、通常、個別の値として報告する必要がある。個別の試験の平均化が試験方法によって適切に明記されている場合、1つの平均化された結果を最終試験結果として報告できる。場合によっては、結果のばらつきの統計的処理が報告される。例えば、製剤の含量均一性についての試験において、標準偏差(または相対標準偏差)は、個々の単位用量の試験結果と共に報告される。

平均化は、ロットのさまざまな部分またはサンプル内のばらつきを隠すこともできる。例えば、粉末の混合/混合物の均一性または製剤の含有量の均一性の判定を行う場合、平均の使用は不適切である。このような場合、試験は製品内のばらつきを測定することを意図しており、個々の結果はそのような評価のための情報を提供する。

OOSの調査中に実行される追加の試験が実施される状況では、調査を促したオリジナルの試験の結果と、OOSの調査中に得られた追加の再試験または再サンプルの結果と平均化することは、個々の結果間のばらつきを隠すため適切でない。このようなデータの平均に依存することは、結果の一部がOOSであり、他の結果が規格内にある場合に特に誤解を招く可能性がある。ラボは、医薬品、工程内原料などの合格・不合格の責任を負うQUによる評価および検討のために、すべての個々の結果を提供することが重要である(§ 211.22)。

たとえば、仕様が90~110%の最終医薬品の分析では、最初のOOSの結果が89%で、追加の再試験の結果が90%と91%の場合、90%の平均が生成される。この平均は仕様を満たすが、追加の試験結果もオリジナルOOSの結果を確認する一助となる。ただし、同じ規格で別の状況で、最初のOOSの結果が 80% で、追加の再試験の結果が85%と105% の場合、90%の平均が生成されるが、大きく異なる状況を示す。これらの結果は、オリジナルのOOSの結果を承認しないが、高いばらつきを示し信頼性が低い可能性がある。どちらの例でも、製品の品質を評価するためには、平均ではなく個々の結果が使用されるべきである。

2.棄却検定 

CGMPガイドラインは、統計的に有効な品質管理基準に適切な合格および/または不合格の水準を含めることを要求している(§211.165(d))。まれに、バリデートされた方法を使用して、一連の値とは著しく異なる値が得られることがある。このような値は、統計的異常値として評価されるかもしれない。異常値は、所定の試験方法からの偏差に起因する場合もあれば、サンプルの変動性の結果である場合もある。

異常値の理由は、試験されたサンプルに固有の変動性ではなく、試験手順のエラーであるみなされるべきでない。

棄却検定は、大量データから極端なデータを識別するための統計的手順である。棄却検定の使用の可能性は、事前に決定する必要がある。これは、データ解釈のためにSOPに書かれ、十分に文書化されているべきである。SOPには、事前に指定された関連パラメータと共に、適用される特定の棄却検定を含めるべきである。SOPは、指定された棄却検定から統計的に有意な評価を得るために必要な結果の最小数を指定すべきである。

高いばらつきを有する生物学的分析の場合、棄却検定は、統計的に極端な試験結果を特定するための適統計分析となり得る。USPは、Design and Analysis of Biological Assay(USP<11>)の一般章に、棄却試験を記述している。このような場合、異常な観測値は計算から除外される。USPはまた、「明らかに異常な反応の恣意的な拒絶または保持は、偏見の深刻な原因となり得る…その相対的な大きさのみに基づいて観測を拒絶し、原因に関する調査を行わずに不合格にすることは、慎重に使用されるべき手順である」(USP<11>)。

比較的小さな分散で検証された化学試験で、試験されるサンプルが均質であると考えられる場合(例えば、濃度を判断するための製剤の複合体の分析)、棄却検定は、試験および再試験から得られたデータの統計分析にすぎない。極端な観測の原因を特定することはできないため、疑わしい結果を無効にするために使用すべきではない。時折、棄却検定は、結果がデータセットからどれほど不一致であるかを理解するうえで何らかの価値があるかもしれないが、平均からの結果の差を判断するため、調査の過程で情報としてのみ利用できる。

棄却検定は、内容物の均一性、溶解、放出速度の判断など、製品にばらつきが評価されているものには適用できない。これらのアプリケーションでは、異常値とわかる値は、実際には不均一な製品の正確な結果である可能性がある。

OOSの調査で実施される追加試験中にこれらの手順を使用すると、ラボは複数の結果を取得する。最終の出荷判定の中でのQUによる評価と検討のために、全ての試験結果を提供することは、繰り返しになるが、ラボにとって重要である。また、契約試験機関による調査で原因が確定しない場合、全ての試験結果は、分析証明書上で顧客に報告されるべきである。

V. 調査の完了

調査を終了するには、結果が評価され、ロットの品質が判断されるべきで、QUによりリリースの判断がされるべきである。関連するSOPはこの時点で守られるべきである。ロットが不合格になると、是正処置がとれるよう、不具合の原因を特定するための更なる試験に制限はない。

A. 調査結果の解釈  

QUは調査結果の解釈に責任を負う。最初のOOSの結果は、必ずしも対象のロットが失敗することを意味するわけではなく不合格にすべきでない。OOSの結果は調査されるべきであり、再試験結果を含む調査の結果は、ロットを評価しリリースまたは不合格に関する判断ができるよう解釈されるべきである (§211.165)。

調査によって原因が明らかになり、疑わしい結果が無効になった場合、その結果をロットの品質を評価するために使用すべきでない。個別の試験結果の無効化は、OOSの結果を引き起こしたと合理的に判断できる試験イベントの観察と文書化によってのみ行うことができる。
調査がOOSの結果がロットの品質に影響を与える要因によって引き起こされたことを示している場合(すなわち、OOSの結果が確認された場合)、結果はロットの品質を評価する際に使用されるべきである。

確認されたOOSの結果は、ロットが、制定された標準または規格を満たしておらず、§211.165(f)に従ってロットが不合格になり、適切な処分が行われるべきであることを示している。決定的でない調査の場合-(1)OOSの試験結果の原因が明らかにならず、(2)OOSの結果を確認しない場合、ロット処分の決定においてOOSの結果が十分に考慮されるべきである。最初のケース(OOS確認済み)では、調査はOOSの調査からロットの不具合の調査に変わり、特定の不具合に関連している可能性のある他のバッチまたは製品に拡大されなければならないかもしれない (§211.192)。

2番目のケース (決定的ではない) では、QU は最終的にバッチのリリースを決定する可能性がある。たとえば、ある企業は、次のシナリオで製品のリリースを検討するかもしれない:

製品の許容可能な複合の分析範囲は90.0~110.0%である。初期(OOS)分析結果は89.5%である。オリジナサンプルからの後続のサンプル標本で、次の再試験結果が得られる: 99.0、98.9、99.0、99.1、98.8、99.1、および99.0パーセント。包括的なラボの調査(フェーズ1)では、ラボのエラーは明らかにできな。

ロットの製造中のイベントのレビュで、異常な工程のばらつきの異常や兆候は見られない。製造プロセスと製品のレビュは工程が安定していることを示している。合格した7つの再試験の結果はすべて、使用される方法のばらつきの既知の限界内に十分に収まっている。工程内のモニタリング、内容物の均一、溶解、およびその他の試験からのバッチ結果は、合格した再試験結果と一致する。徹底的な調査の後、企業のQUは、最初のOOSの結果がロットの真の品質を反映していないと結論付けるかもしれない。

このシナリオで、オリジナルの徹底的なラボの調査が突き止められる原因を見つけられなかったことは注目に値する。しかし、その後の調査にもかかわらず、OOSの結果の原因が製造プロセスとは無関係の原因であると結論付けた場合、ラボの逸脱の検出の非定型的な失敗に対応して、OOSの結果につながった可能性のあるラボのエラーの再発を防ぐため、調査に適切なフォローアップと精査を含めることが不可欠である。

上記の例が示すように、最初の OOSの結果が無効になっていないにもかかわらずロットをリリースする決定は、完全な調査の結果がロットの品質を反映していないことが示された後にのみ行われるべきである。そのような決定を下す際には、QUはいつも慎重過ぎるぐらい慎重になるべきである。

B. 注意事項

1.オリジナルのサンプルから得た複数のサンプル標本の結果の平均化一連の分析結果(単一の報告可能な結果を生成することを意図したもの)が試験手順によって必要とされ、個々の結果の一部がOOSであり、いくつかは規格内であり、すべてが試験方法の既知のばらつきの範囲内にある場合、合格の結果がサンプルの真の値を表していない可能性は、OOSの結果と同じである。このため、企業は注意を怠らず、これらの値の平均が規格内であっても、これらの値の平均をOOSの結果として扱う必要がある。このアプローチは、USP一般通知で概説されている原則と一致しており、公式記事は、コンペンディアルの試験が適用される時はいつでも、コンペンディアルの標準に準拠しなければならない。
したがって、公式試験の個々への適用が規格を満たす結果を生み出すことが期待されるべきである。

2.           同じ最終サンプル標本からの平均結果

平均化セクション(IV.C.1)で述べたように、結果に到達するために、試験方法がばらつきの適切な受け入れ基準と、最終希釈サンプル溶液からの事前定義された反復回数を規定する場合がある。例えば、HPLC試験法は、ばらつきの許容基準と、同じ試験バイアルからの多数の連続した反復注入からのピーク応答の平均により単一の報告可能な結果が決定されることを明記しているかもしれない。このような場合でばらつきの許容基準が満たされていることを考えれば、個々の結果自体を報告するOOSの原因とすべきでない。

3. 規格内のボーダーラインの結果

低いが規格内の分析結果も懸念を引き起こすはずである。結果の1つの原因は、ロットが適切に配合されなかったことかもしれない。ロットは、ラベルに表示された、または、制定された量の有効成分の100%以上を提供する意図で配合されなければならない(§211.101(a))。これはまた、分析結果が規格を満たす状況ではあるが、リリースまたは不合格の決定には注意が必要である。

医薬品の品質を評価するために実施されるすべての分析試験と同様に、OOSの試験結果に関するすべて記録を保持する必要がある。制定された規格および標準(§211.194)への準拠を保証するために実施された全ての試験から得られた完全なデータの記録を保持する必要がある。

C. フィールドアラートレポート

承認された新薬申請または省略の新薬申請の対象となる製品について、規制は、出荷されたロットが申請で制定された規格のいずれかを満たさなかった不具合に関する情報のフィールドアラートレポート(FAR)

を3営業日以内に提出する必要がある(21 CFR 314.81(b)(1)(ii)).。これらの製品のOOSの試験結果は、この規制で述べられた、ある種の「不具合に関する情報」とみなされる。出荷されたロットの OOSの結果が 3 日以内に無効であることが判明した場合を除き、最初の FAR を送信する必要がある。OOS調査の完了時にフォローアップ FAR を提出する必要がある。

出典:https://www.fda.gov/media/158416/download

まとめ

いかがでしたでしょうか。

OOS発生時、何回まで再試験をしよいかといった手順を明確に定めておく必要性をあらためて感じました。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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