台風が気になるところですが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
今回も前回に引き続き、2021年7月1日に発効したPIC/Sガイドライン、「GMP/GDP環境でのデータ管理とインテグリティに関する適正管理基準(PI 041-1」について見ていきたいと思います。
これまで4回にわたって取り上げてきましたが、今回が最終回となります。
最後までご覧いただければ幸いです。
出典
https://picscheme.org/docview/4234
PIC/S GUIDANCE
GOOD PRACTICES FOR DATA MANAGEMENT AND INTEGRITY IN REGULATED GMP/GDP ENVIRONMENTS
10章 外注活動に関するデータ・インテグリティ
10.1 全般的なサプライチェインの検討
10.1.1 現代のサプライチェインは、しばしば、医薬品の安全性と継続的な供給を保証する
ために一体となって働く複数のパートナー企業から構成される。典型的なサプライ
チェインは、しばしば、異なる組織と場所にある、原薬の製造業者、製剤の製造業者、
分析試験機関、卸売販売業者、流通組織の関与を必要とする。これらのサプライ
チェインは、しばしば、外部委託されたサービス、ITサービスやインフラ、専門知識
やコンサルティングサービスを提供する追加の組織によりサポートされている。
10.1.2 データ・インテグリティはサプライチェインの安全性とインテグリティを保証する
ために重要な役割を果たす。委託者のデータ・ガバナンスの手段は、サプライチェイン
のパートナーによって提供される信頼できない、もしくは偽造されたデータや原材料
により著しく弱められる可能性がある。この原理は原材料の供給者、受託製造業者、
分析サービス、卸売販売業者、契約したサービスプロバイダやコンサルタントを含む
全ての外注活動に当てはまる。
10.1.3 サプライチェインのパートナー及び外注活動の初期の評価と定期的な再適格性評価には、
データ・インテグリティのリスクと適切な管理手段の考慮を含むべきである。
10.1.4 組織にとって、サプライチェインから得る情報(例:記録のサマリやコピー/プリント
アウト)のデータ・インテグリティや、リモートの監視の試みの限界を理解することが
重要である。これらの限界は、このガイドラインの8.11章で考察されたことと似ている。
これは、品質リスクマネジメントのアプローチを使って、データ・インテグリティの
検証や監督にリソースを集中させるために役立つ。
10.2 定期的な文書の検証
10.2.1 サプライチェインは、組織から組織に渡る文書やデータの使用が頼りである。委託者が、
報告された結果に関する全てのローデータをレビュすることは、しばしば実際的では
ない。品質リスクマネジメントの原則を使い、外部委託された供給者と受託業者のため
の安定した適格性評価のプロセスに重点が置かれるべきである。
10.3 サプライチェインのデータ・インテグリティの評価に関する戦略
10.3.1 会社は、サプライチェインや外注活動のリスクの定期的なレビュを実施し、データ・
インテグリティの管理が必要な範囲を評価すべきである。それらのレビュの頻度は、
リスクマネジメントの原則に従い、受託業者により提供されるサービスの重要性に基づく
べきである。リスクのレビュ中、以下のことを含む情報について考慮すべきである。
・データ・ガバナンスの方法に重点を置いた、製造所の監査の結果
・データ・インテグリティやセキュリティに関する国際的な標準やガイドラインの準拠
の照明
・定期的なレポートの中で提出されるデータのレビュ:例えば
○レビュの範囲
契約者もしくは供給者から報告される分析データと、同じ原材料の分析から得た
社内データの比較
○理論的解釈
データの改ざんを示すかもしれない矛盾したデータを探すこと
10.3.2 品質協定(またはそれと同等のもの)は、サプライチェインを通じてデータ・インテ
グリティを保証するための特別の規定と共に、製造業者と原料の供給者、サービス
プロバイダ、受託製造組織(CMO)、(販売の場合は)医薬品の供給者の間で整えられる
べきである。これはデータ・ガバナンスの期待を設定し、受託業者による委託業者への
エラー/逸脱の透明な報告により達成されるだろう。受託業者の製造所で確認された
データ・インテグリティの全ての不具合を委託業者に通知する要件もあるべきである。
10.3.3 製造業者により(またはその代わりにサードパーティにより)実施される、原薬の
供給者や製造業者、重要な中間体の供給業者、 主要な印刷包装資材の供給者、受託
製造業者やサービスプロバイダの監査では、契約組織におけるデータ・インテグリティ
の手段の検証を含むべきである。データ・インテグリティの遵守と、管理の原則が評価
され証明されることができるよう、受託業者は査察中に委託業者の代わりに生成された
データへの合理的なアクセスが出来ることが期待される。
10.3.4 監査と定期的な調査は、品質リスクマネジメントのアプローチに従い、委託業者の品質
部門による、電子データとメタデータの発生源の適切な検証を含むべきである。
これは、以下の方法により達成されるだろう。
○現場査察
受託組織の挙動や、データ・ガバナンス、データ・ライフサイクル、リスクと重大性
の理解のレビュ
○原材料試験 対 分析証明書
分析試験と供給者が報告した分析証明書の結果の比較
正確性、精度、純度の結果の食い違いを調べよ。これは、原材料や供給者のリスク
により、普段から、定期的、抜き打ちで実施してもよい。重要であれば、サンプルの
定期的な検定試験も検討されるとよい。
○リモートのデータレビュ
委託業者は、ロットの製造や試験に使用するために、契約設備/供給者が彼ら自身の
ハードウエアやソフトウエアの使用を提案することを検討するかもしれない。
委託業者は、契約設備の職員により生成されるデータの品質とインテグリティを
リアルタイムでモニタしてもよい。
この場合、委託業者のデータの監視が、受託業者により生成されたデータの修正を
許さないことを保証するために、職務の分離がされるべきである。
○品質のモニタリング
品質と実績のモニタリングは、データ改ざん(例:頻繁な、規格の限界まで一致した
原材料)の誘因を示すかもしれない。
10.3.5 委託業者は、顧客を特定しないよう全ての顧客の秘密の情報を記号化することを保証
するために、受託業者と協力してもよい。これは、他の顧客に対する守秘義務を破る
ことなく、委託業者の製造所において、電子データ及びメタデータの原始データの
レビュを促進するだろう。より大きなデータセットのレビュにより、委託業者の
データ・ガバナンスの方法をより安定して評価することを可能にするだろう。それは、
予想されるばらつきを示さないデータセットやデータなど、繰り返されるデータ・
インテグリティの不具合の指標の検索も可能にする。
10.3.6 供給される文書の真正性や正確性を保証するために、注意が払われるべきである。
(8.11章参照)
契約者とサプライチェインの適格性の判断をする際に、“真正なコピー”と
“サマリーレポート”のデータの間のデータ・インテグリティの相違やトレーサビリ
ティのリスクが考慮されるべきである。
11章 データ・インテグリティの指摘事項に対する規制上の行動
11.1 不備の参照
11.1.1 データのインテグリティは、GMPにとって基本的なことであり、適正なデータ・
マネジメントの要件は、医薬品のGMP/GDPのための現在のPIC/Sガイドラインの中に
組み込まれている。以下の表はこれらの既存の要件のうちのいくつかの強調している
参照ポイントを示している。
■ALCOAの原則
●帰属性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.20 c&f、4.21 c&i、4.29 point5 PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 5.43、6.14、6.18、6.52
Annex11(コンピュータ化システム) : 2、12.1、12.4、15
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.4、4.2.5
●判読性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.1、4.2、4.7、4.8、4.9、4.10
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.11、6.14、6.15、6.50
Annex11(コンピュータ化システム) : 4.8、7.1、7.2、8.1、9、10、17
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.3、4.2.9
●同時性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.8
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.14
Annex11(コンピュータ化システム) : 12.4、14
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.1、4.2.9
●原本性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.9、4.27、 Paragraph”記録“
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.14、6.15、6.16
Annex11(コンピュータ化システム) : 8.2、9
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.5
●正確性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.1、6.17
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 5.40、5.42、5.45、5.46、5.47、6.6
Annex11(コンピュータ化システム) : Paragraph”原則“、4.8、5、6、7.2、10、11
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.3
●完全性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.8
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.16、6.50、6.60、6.61
Annex11(コンピュータ化システム) : 4.8、7.1、7.2、9
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.3、4.2.5
●一貫性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.2
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.15、6.50、
Annex11(コンピュータ化システム) : 4.8、5
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.3
●耐久性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : 4.1、4.10
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.11、6.12、6.14
Annex11(コンピュータ化システム) : 7.1、17
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.6
●利用可能性
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part1) : Paragraph”原則“、4.1
PIC/S GMPガイドラインPE009(Part2) : 6.12、6.15、6.16
Annex11(コンピュータ化システム) : 3.4、7.1、16、17
PIC/S GDPガイドラインPE011 : 4.2.1
11.2 不備の分類
注意:以下のガイドラインは、データ・インテグリティの不備の報告と分類の整合性の助けとなることを目的とし、その内部の方針や国の規制のフレームワークに従って行動する査察当局の能力に影響を与える意図はない。
11.2.1 データ・インテグリティの不具合に関係した不備は、製品品質にさまざまな影響を
与えるだろう。不具合の蔓延の度合いも、一人の従業員の行動から、査察される組織
に固有の怠慢まで多様だろう。
11.2.2 不備の分類に関し、PIC/Sガイドラインのドラフトは以下のように述べている:
“重大な不備とは、人または動物の患者に有害な製品や、食料生産動物に有害な残量物
が生じる製品を製造することで重大なリスクをもたらす、もしくは、リスクにつながる
実務や手順である。重大な不備は、製造業者が製品またはデータの不正、虚偽、改ざん
に関与した場合にも発生する。”
11.2.3 不正、虚偽、改ざんに関する不備の分類が“重大”に関わらず、データ・インテグリ
ティの不備は、以下のことにも関係しうると推測される。
●正しくない手順から生じるデータ・インテグリティの不具合
●必要なデータ管理手順がないことにより、不具合(実際の不具合のエビデンスのない)
の発生する可能性
11.2.4 これらの場合、以下のこと(指示的リストのみ)を考慮することにより、不備の分類
を決めることが適切だろう。
〇患者の健康への実際の、もしくは、潜在的なリスクを与える製品への影響:重大な不備
・出荷時もしくは使用期限内に、販売承認規格を満たさない製品
・QCの試験、重大な製品またはプロセスパラメータの報告時に、実際の規格外の結果
ではなく、‘望ましい’結果を報告すること
・経営陣の認識や支援のある/なしに関わらずデータの広範囲の意図的な改ざんや偽造、
医薬品品質システムの信頼性の土台を壊し、製造所により製造もしくは管理された
医薬品の品質と安全性の全ての信頼を損なう度合い
〇患者の健康にリスクを与えない製品への影響:メジャな不備
・誤ったデータの報告(例:もともと‘規格内’の結果を、より好ましい傾向に変更
する)
・品質試験や重大な製品またはプロセスパラメータに関係ないデータの報告の際、
実際の規格外の結果の代わりに‘望ましい’結果を報告すること
・不十分に設計されたデータ収集システム(例:情報を後で転写するために紙きれを
使用すること)により発生する不具合
〇製品に影響を与えない;少しの不具合のエビデンス:メジャな不備
・データ・インテグリティの問題や、限定された機能間(例:品質保証、製造、品質
管理等)のトレーサビリティの喪失を生じさせるかもしれない、正しくない手順と
不十分に設計されたシステム
それ自身は製品品質に直接の影響がない。
〇製品に影響を与えない;不具合のわずかなエビデンス:その他の不備
・データ・インテグリティの問題や、個々の分野のトレーサビリティの喪失につな
がる、正しくない手順または不十分に設計されたシステム
・その他の点では受け入れられるシステムの限定された不具合
例:個人による重要でないデータの改ざん
11.2.5 全社的な不具合または限定された範囲/影響の不備があるかどうかについて、安定した
アセスメントを実施するために、重要な要素(データ・ガバナンスのプロセス、規定
に適合したデータの記録を助けるシステムの設計、監査証跡とITユーザのアクセスの
利用と検証等)の適合性の総合的な概念を作成することが重要である。
11.2.6 個々の状況(悪化する/軽減する要素)は、最終的な分類や規制対応に影響を与えるかも
しれない。不備の分類や、コンプライアンス問題の当局への報告に関する更なる
ガイダンスは、PI 040 PIC/Sガイドラインの不備の分類にて利用可能である。
12章 データ・インテグリティの不具合の改善
12.1 重大なデータ・インテグリティの問題への対応
12.1.1 データ・インテグリティの問題に関連して発見された緊急の問題と評価されたリスクを
第一に解決するために、検討がされるべきである。会社の問題への対応では、取られる
アクションの概要を述べるべきである。関与する製造業者からの対応には以下のことを
含むべきである:
12.1.1.1 データの記録と報告の不正確な範囲の包括的な調査に含むべきこと:
・詳細の調査の手順と方法論
アセスメントに含まれる全ての試験室、製造作業、製品とシステムの概要
規制を受けるユーザが除外を提案する作業に関する正当化の理由
・データの不正確さの性質、範囲、根本原因を特定するための現在及び過去の従業員
のインタビュ
これらのインタビュは、適格なサードパーティにより実施されるのがよい。
・設備内のデータ・インテグリティの不備の範囲の評価
省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不備を特定せよ。
・適用される期限の正当化の理由と共に、事象の範囲(データ、製品、工程及び特定
のロット)、問題の時間枠の決定
・データ・インテグリティの欠落が発生した作業の全ての部分の記述と追加の考察が、
多国籍企業または複数の異なる製造所をまたがって作業する企業のグローバルな
是正処置についてなされるべきである。
・試験と製造に関するデータ・インテグリティの不備の性質の包括的で回顧的な評価、
根本原因または潜在的な根本原因の特定は、調査手順で定義された是正処置・予防
処置の基準を作るだろう。
潜在的な欠陥が確認された分野の特別な専門知識を持った適格なサードパーティの
コンサルタントの雇用が必要かもしれない。
・物質、医薬品、製品の品質で発見された不具合の潜在的な影響のリスクアセスメント
これらのアセスメントは、データ・インテグリティの欠落、継続的な作業による
リスク、製品の登録書類に関連するデータを含む規制当局に提出されたデータの
正確性の影響を受けた製品の出荷/販売により発生する患者の潜在的なリスク分析を
含めるべきである。
12.1.1.2 データ・インテグリティの脆弱性に取り組むための是正処置・予防処置、実施の時間枠、
及び以下のことを含めよ。
・顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するために
安定性プログラムへのロットの追加、薬の申請活動、強化された苦情のモニタリング
など、患者を保護し、医薬品の品質を保証するためのアクションを述べた暫定的な
方策
暫定的な方策の効果がモニタされ、残存するリスクが経営陣に伝えられ、レビュを
受けるべきである。
・改善努力と、データ・インテグリティを保証するために設計された手順、プロセス、
方法、管理、システム、経営者の監督、人的資源(例:訓練、スタッフの改善)の
強化を述べた長期の方策
長期の方策が見つかった場合は、リスクを軽減するための暫定的な方策がとられる
べきである。
12.1.1.3 取られたアクションが問題を取り除いているかをモニタするために実施されたCAPA
の効果のチェック
12.1.2 可能であれば、視察団は、確認された不備の性質を伝えて問題の包括的な調査、問題の
全面開示、迅速な解決を約束する文書化された確認書を求めるために、関係する会社の
上位の代表者と会うべきである。
グローバルな是正処置・予防処置の詳細を含む経営戦略が、規制当局に提出されるべき
である。戦略には下記のことを含めるべきである:
・現在のアクションプランの範囲と深さが、調査やリスクアセスメントでみつかった
ものに見合うというエビデンスを含む、データ・インテグリティの欠落の根本原因
の包括的な記述
これには、データ・インテグリティの欠落に責任を負う個人が、GMP/GDP関連、
または薬の申請データに影響を与えることが出来る状態のままであるかを示さな
ければならない。
・規制を受けるユーザが、どうのように、分析データ、製造記録、所轄官庁に提出
または提示される全てのデータを含む、生成された全てのデータのALCOA+の属性を
保証するつもりかを述べた詳細な是正処置の計画
12.1.3 視察団は、データ・インテグリティの違反に関連したリスクを管理するために、査察
で特定した重大なデータ・インテグリティの問題の管理のための方策を実施すべきで
ある。
12.2 改善の指標
12.2.1 現地の査察には、深刻なデータ・インテグリティの問題に取り組むためにとられた
アクションの効果を検証することが求められる。リスクマネジメントの原則に従い、
効果的な改善を確認するためのアプローチの選択肢が検討されるかもしれない。
改善のいくつかの指標は次の通りである:
12.2.1.1 確認された問題の徹底的でオープンな評価のエビデンスと、組織レベルでの適切
な実施を含む、迅速で効果的な是正処置・予防処置の実施
12.2.1.2 顧客及び規制当局との問題のオープンなコミュニケーションのエビデンス
透明なコミュニケーションは、調査及び改善の段階を通じて維持されるべきで
ある。規制当局は詳細な調査の結果として、さらなるデータ・インテグリティの
不具合が報告されるかもしれないことをわかっている必要がある。これらの通知
に対する追加の反応は、継続的な報告を促進するために、公共の健康リスクに
比例しているべきである。
12.2.1.3 潜在的な問題と、改善の状況をオープンに報告するためのプロセスを包含し推奨
する、組織をまたがるデータ・インテグリティに対する期待のコミュニケーション
のエビデンス
12.2.1.4 規制を受けるユーザは、フォローアップ活動が全ての違反を完全に解決している
ことを保証するために、高度な電子的システムのデータの改ざんに対する脆弱性
の適切な評価が行われることを保証しなければならない。
12.2.1.5 このガイドラインの原則と一致したデータ・インテグリティの方針の実装
12.2.1.6 定期的なデータの検証手順の実装
13章 定義
Archiving(アーカイブ)
プロセスや活動の復元の目的のために、完成されたデータと関連するメタデータを
その最終的な形式での長期間、不変に保持すること
Audit Trail(監査証跡)
GMP/GDPの監査証跡は、GMP/GDP活動の復元を可能にする、GMP/GDPの重要な情報
(例えば、GMP/GDP関連データの作成、変更、削除)の記録のメタデータである
Back-up(バックアップ)
災害復旧の目的で保持される、現在の(編集可能な)データ、メタデータ、
システムの構成設定(例:分析実行に関連する様々な設定)のコピー
Computerised system(コンピュータ化システム)
報告または自動のコントロールに使用される、データの入力、電子データの処理、
情報の出力を含むシステム
Data(データ)
参照や分析のために、一緒に収集された事実、数量、統計値
Data Flow Map(データフローマップ)
情報システムのデータの流れのグラフィックな説明
Data Governance(データ・ガバナンス)
データが、生成、記録、処理、保持、使用されるフォーマットに関わらず、データ
のライフサイクルを通じて、完全で一貫して正確な記録であることを保証するため
のデータの全体的なアレンジメント
Data Integrity(データ・インテグリティ)
データが完全で、一貫していて、正確で、信用できて、信頼性があり、データの
これらの特性がデータのライフサイクルを通じて維持されている度合い
データは、帰属可能、判読可能、同時に記録され、オリジナル(または真正な
コピー)で正確であるように、安全な方法で収集され、保持されなければならない。
データ・インテグリティの保証には、理にかなった科学的な原則と、適正な文書化
の手順を含む適切な品質とリスクマネジメントシステムが必要である。データは
ALCOA+の原則に従わなければならない
Data Lifecycle(データ・ライフサイクル)
最初の生成、処理を通じた記録(変換または移行を含む)、使用、データの保持、
アーカイブ/検索、廃棄までのデータ(ローデータを含む)の有効期間内の全ての
フェーズ
Data Quality(データ品質)
生成されたデータは、生成するつもりで、意図した目的に合っているという保証
これは、ALCOA+の原則を含んでいる。
Data Ownership(データの所有)
特定のプロセスオーナーへの、データのコントロールに関する責任の割り当て
会社は、システムとデータの責任が適切に割り当てられ、責任が引き受けられて
いることを保証するためのシステムを実装しなければならない。
Dynamic Record(動的な記録)
電子記録のような、ユーザと記録の内容の間で相互作用的な関係を持った記録
Exception report(例外報告)
データのレビュ者による更なる注目や調査を求めるために、予め‘異常’と定め
られたデータまたは操作を特定し文書化するバリデートされた検索ツール
Good Documentation Practice(GdocP)(適正文書化手順)
紙・電子に関わらず、データ・マネジメント及びデータ・インテグリティの原則
を満たした、集合的、または、個々の文書化を保証する手段
Hybrid Systems(ハイブリッドシステム)
通常は紙ベースの記録を生成する定められた手動のシステムによって補われる、
通常は電子データを生成する電子システムからなる、データのマネジメントや
管理のためのシステム。
従って、ハイブリッドシステムからできる完成したデータセットは、電子と紙
のデータの両方からなる。ハイブリッドシステムは、正しい操作による両サブ
システムの効果的な管理に依存している
Master Document(原本)
オリジナルと認められ、配布または使用のためにそのコピーが管理された文書
Metadata(メタデータ)
他のデータの属性を記述するデータで、その背景や意味を提供する
通常は、データの構造、データの要素、相互関係、データのその他の特性(例:
監査証跡)を述べたデータである。メタデータは、個人(または、自動的に生成
された場合は、オリジナルのデータの発生源)に帰属可能である。メタデータ
は、オリジナルの記録の不可欠な部分を形成する。メタ―たにより提供される
前後関係がなければ、データは意味を持たない。
Quality Unit(品質部門)
医薬品品質システムの、特に、設計、効果的な実装、モニタリング、維持を
含む品質の監視に責任を負う、規制を受ける団体中の部門
Raw Data(ローデータ)
ローデータは、紙・電子的に記録されたかにかかわらず、情報の最初の保存と
して記録されるオリジナルのデータとして定義される。動的な状態でもともと
保存された情報は、その状態で利用可能であり続けなければならない。
Static Record(静的記録)
紙または電子の記録のように、固定され、ユーザと記録の内容の間で相互作用
をほとんど、もしくは、まったくもたない記録の形式
Supply chain(サプライチェイン)
製造から販売または使用場所までのあらゆる場所で医薬品の品質を保証する、
製造所、卸売及び流通場所の間の調整の全て
System Administrator(システム管理者)
コンピュータシステムや特定の電子コミュニケーションサービスの操作を管理
する人間
14章 改訂履歴
なし
まとめ
5回に分けて「GMP/GDP環境でのデータ管理とインテグリティに関する適正管理基準(PI 041-1」を見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
9章まででげっそりしているのに、10章で自社だけでなく委託先のデータ・インテグリティも求められてさらにげっそりではないでしょうか。
しかし、データがあちこちでつながっている今の時代、1社だけがデータ・インテグリティを実現しても、製薬業界のデータ・インテグリティの実現にはならないということも感じました。
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